これからやるんだぜ!
という事で、しばらくブログが止まったら、理由は上記です。
ハハハ、やるぜやるぜぇー!
その前に。
日付変わる前にマツタケラストレスに行って来なければ!
待ってて○ムちゃん&ベイベー!!
即レスウィークと言いつつも、即レス返しを喰らい挫けそうです。(笑)
挫けたらゴメンナサイ…ッ!
対策課。
折りたたみでSS。
今回の主役(?)は灰田さん。
『バックオーライ』
すっかり冬支度を整えた銀幕広場のイルミネーションを横目に、灰田 汐は市役所へ向け小走りに通りを駆け抜けた。
アズマ研究所で研究成果の定期報告を受けた帰りだった。
つい先日の市民運動会の頃と違い、今は陽が落ちるのも随分早い。
「寒い~……!」
すっかり冷たくなった指先を擦り合わせながら、灰田は喧騒の我が家ともいえる対策課に飛び込んだ。
「お帰りなさい!」
「お疲れ様です」
「ただ今戻りました」
職員達の出迎えの声に笑顔を返しながら、灰田はホワイトボートの予定表を「外」から「在」に直した。
コートを脱ぎ、すぐさま椅子の背もたれに掛けっ放しになっていたカーディガンを羽織る。
先日購入したばかりの新しいカーディガンだった。
カシミアで軽くて着心地が良くて、シルエットも可愛く店頭で見つけた瞬間一目惚れだった。
給料日もボーナスもまだ随分先だったが、思わず買ってしまった。
今一番のお気に入りだ。
(やっぱり思い切って買って良かったぁ……)
自分の決断と柔らかい着心地に満足しながら、幾分上昇した気分に、灰田は面倒な報告書のファイリングをこの勢いで片付けてしまおうとキャビネットに向かった。
対策課に背を向け、作業を開始する。
背後では、走り回る職員の足音や引っ切り無しに鳴り響く電話、受付の説明対応の声が重なり、いつもの対策課狂想曲を奏でている。
「あれ!」
一際バタバタと喧しい足音を立てていた山西が、不意に灰田の後ろで立ち止まり声を上げた。
「灰田さん、ソコ解けてますよ!」
「え?」
慌てて後ろを振り返る。
山西が指差すのは、灰田の腰辺り。
どうやら、カーディガンの背面で結ばれた飾りのリボンが解けてしまっているらしい。
「ヤダ、本当?」
このリボンは、灰田が一番気に入っているポイントであった。
地味になりがちなカーディガンの中、このワンポイントがあるかないかで随分印象も違ってくる。
自分からはよく見えない背後の紐に、後ろに手を伸ばし直そうとするが中々上手くいかない。
「あ、俺直しますね!」
「ありがとう……」
年下の男の子に縛り直してもらうのは少し気恥ずかしかったが、折角の山西の好意、灰田は素直にお願いした。
「よしっと。あ、ハーイ! 今資料持って行きます……!」
改めて礼も言う間もなく、カウンター側から名を呼ばれ山西はさっきと同じ賑やかな足音で再び駆けて行った。
本来一般的な市役所の窓口は、午後5時までと相場が決まっているが、年中無休、終日でハザードやヴィランズ、ムービースターの依頼事に対応しなければならない対策課には終業時間などほぼないに等しい。
一応労働法に基づき、シフト制にはなっているが、既定終業時間に上がれた事などここ最近ほとんどなかった。
慌しい対策課内の様子に、今日も残業かしら、と小さくため息をつくと、灰田は再びファイリング作業に戻った。
キャビネットに向かい、ファイルと格闘する事数分。
ふと背後から視線を感じ、灰田は後ろを向いた。
「……里村さん?」
振り向いた先には、何故か肩に付く位小首を傾げた桃子が封筒の束を抱え立っていた。
つられ灰田も同じ様に首を傾げる。
「あ、ゴメンナサイ。灰田さん、コレ今月の事務用品の請求書、机の上に置いておきますねぇ」
「……あ、ハイ。ありが、とう……?」
桃子は何も言わず、そのまま去っていった。
「?」
首を捻りながら、灰田も作業に戻る。
その数分後。
「え? 邑瀬さん?」
気配を感じ振り向いたその先。
そこにはやはり先ほどの桃子と同じ様に、邑瀬が首を傾げ立っていた。
「灰田さん、来週の飲み会の件ですが」
「あ、ハイ。出席します」
「了解です」
「予約お願いしてしまってスミマセン」
「いえいえ。あの店のシェフとは知り合いなので。味は私が保証します、楽しみにしていて下さい。では失礼」
「あ……」
会話中、邑瀬はずっと首を傾げたままだった。
一緒になって顔を傾ける灰田と邑瀬の様は、傍から見たらそれはさぞ滑稽だっただろう。
しかし訳を尋ねる間もなく、会話終了の後、首の角度をピシリと正すと邑瀬は革靴を鳴らし颯爽と早歩きで歩いて行ってしまった。
「?」
不審に思いながらも、灰田は再び作業に戻った。
そのまた数分後。
今度は高梨だった。
「灰田さん、この映画シリーズから実体化したムービースター関連の資料なんですが」
「それなら奥のスライダックスの一番上です」
「ありがとうございます」
「あ、待って高梨さ…ああ~……」
灰田が止める間もなかった。
皆と同じように終始首を傾げていた高梨は、会話が終わるや否やそのまま急いで行ってしまった。
「一体なんなのかしら……?」
訳が分からず途方に暮れる灰田。
しかしその理由は、後ろを通りかかった草間の指摘であっさり解決した。
「灰田さん。後ろのリボン、縦結びなっているわよ」
「――え?」
一瞬ポカンとして、見る見るうちに顔を赤く染める灰田。
「もうーっ、どうして誰も教えてくれなかったんですかーっ!?」
皆が揃って首を傾げていたのは、縦に結ばれたカーディガンのリボンの所為。
そしてそれを縦結びしていった犯人は、当然ネクタイも1人で上手く結べない対策課の新人だ。
「山西くんーっ!!」
灰田の叫びが終業間際の対策課に響き渡った。
「えーどうしてもですかー?」
「駄目! ちゃんと蝶結び出来る様になるまで帰さない!」
「出来るまでって……いや、どうしても縦になっちゃうんですよ。きっと銀幕市の引力の影響で!」
「そんな訳ないでしょう!? ハイ、もう一度!」
「えー別にいーじゃないですかー縦結びでもー」
「駄目! 22歳にもなって、蝶結びも出来ないなんて恥ずかしいんですからね!」
「うえーっ!?」
灰田と山西の特訓は、まだまだ終わらない。
今回の自分的萌えポイントを発表します。
今回の自分的萌えポイントは「小首を傾げる文様」です。(えー)
たまには事務方風景をこってり。その辺も趣味です。
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2008.11.20
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